塩化ビニルのリサイクル


目 次

1.塩化ビニルの、高炉利用 塩化ビニル環境対策協議会

2.外国政府・自治体の塩ビの使用規制と、規制撤回の状況


塩ビ、高炉利用へ

塩化ビニル環境対策協議会

 当協議会と(社)プラスチック処理促進協会、NKK(日本鋼管株式会社)の3者は、このほど塩ビ廃棄物をコークスに代わる高炉還元剤として利用するための共同研究に着手しました。高濃度塩ビ廃棄物を対象に、1年がかりで脱塩化水素技術などの実証実験を行うもので、一般都市ごみからの塩ビはもちろん、産廃系塩ビ廃棄物のリサイクルにも大きなインパクトを与える取り組みとして、全塩ビ関係者の期待が集まっています。

 

高濃度塩ビの高炉利用は世界初の試み

 廃プラスチックの高炉利用とは、銑鉄を造る際に用いられるコークス(鉄鉱石から酸素を取り除く還元剤)の一部をプラスチックで代替しようというもので、廃プラスチックの新しいリサイクル手法として、また、製鉄のコスト低減策として、ヨーロッパを中心にいま世界的な注目を集めている技術です(ヨーロッパではフィードストックリサイクルの範疇に定義される)。

 廃プラスチックの高炉利用は、日本でも既にNKKの京浜製鉄所において年間3万トン規模の取り組みが実施されていますが、塩ビについては、脱塩化水素技術が完成していないことから、現在のところ処理の対象とはなっていません。

 高炉利用の先進国であるドイツでは、ブレーメン社など一部の鉄鋼メーカーが塩ビも含む廃プラスチックの一体処理に取り組んでいるケースが見られるものの、ここで用いられる廃プラスチックは都市ごみ系のものに限られているため、塩ビの含有量は全体の3%程度に過ぎません。

 今回、当協議会とプラ処理協、NKKの3者で進められることとなった共同研究は、塩ビ100%までの高濃度塩ビ廃棄物の高炉利用をめざすもので、この点では文字どおり世界初の試みということができます。

 また、塩ビ業界にとっては、一般の都市ごみの塩ビ以上に産廃系塩ビのリサイクルという、点で、画期的な効果が期待できる研究となっています。

 

脱塩化水素技術の確立がポイント

 高濃度塩ビ廃棄物の高炉利用を実現するためには、何といっても前処理工程における脱塩化水素技術の確立が最大のポイントとなります。また、取り除いた塩化水素を回収して化学原料として再利用する技術的見通しを得ることも、今回の重要な研究テーマのひとつです。

 塩ビの脱塩化水素技術については、日本でもこれまで様々な研究が行われてきましたが、一般的には「スクリュー押し出し」と呼ばれる方式により、熱分解して脱塩化水素する方法が主流となっており、現在新潟市や、.立川市で進められている廃プラスチック油化の研究においてもこのノブ式が採用されています。

 これに対して、今回の研究ではロータリーキルン方式を用い、特殊な熱媒体を利用して脱塩化水秦する点が技術的な最大の特徴となっています。処理工程の概略を説明すると、まず塩ビ廃棄物を粉砕し、一定の大きさにした後、これを熱媒体と一緒にロータリーキルンの中に投入し加熱して塩化水素を回収します。脱塩化水素された樹脂は熱媒体とともにそのまま高炉に吹き込まれ還元剤として利用されますが、この点がロータリーキルン方式独特のアイデアと言えます。

 一方、回収した塩化水素の再利用については、鋼薄板の酸洗用塩酸に利用する方法、各種の化学製品の原料とする方法、さらには塩ビモノマーを製造する時のオキシクロリネーション工程(塩素の再利用工程)に戻して再利用するなどの方法が可能で、この研究が完成すれば、塩化水素のリサイクルシステムの構築は実現へ向けて人きく前進することとなります。

 

2000年の容器包装リサイクル法に備えて

 今回の共同研究では、およそ約2億円の予算を投入して年間1,000トン規模の実証実験が行われますが、NKKではこれに先立ち総合材料研究所において小規模試験を実施しており、基礎的な技術面の検討は完了しています。

 実証実験の期間は今年8月から来年7月までの1年間。但し、年内いっぱいは設備の建設に当てられ、実際の研究は来年からスタートする見込みです。

 実験によりシステムの実証性が確認されればNKK以外の高炉各社への技術の普及はもちろん、脱塩化水素技術の部分については全国の産廃処理業者を対象に普及していくことも考えられます。また、塩化水素の用途開発も今後の研究課題となります。

 なお、現行の容器包装リサイクル法では、プラスチックの再商品化(リサイクル)についてマテリアルリサイクルと油化だけが認められていますが、これ以外の手法として高炉利用が認められる可能性が大きいと言われます。

 今回の研究は、塩ビ廃棄物、特に高濃度の産廃系廃棄物のリサイクルという点で塩ビ業界に大きなインパクトを与えると同時に、2000年4月から容器包装リサイクル法の対象となるPET以外の「その他プラスチックの再商品化」に備えるという意味でも、極めて重要な社会的意味を持つものと言えるでしょう。


 

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